蛍光X線分析による金属材料の材質判定とは

■現地で金属材質の判定をする方法

金属材質の判定方法について皆さんはどんなものをご存知でしょうか?
世の中の誰しもが知っている方法と言われれば【磁石をくっつける】だと思います。
学校へ行く前の子供の頃から知っていたような気もする方法ですが、残念ながら磁石がくっつくのが鉄というだけでは材質判定には使えません。

当たり前ですが材質判定をするのは鉄だけではないですし、何より鉄以外にも磁石がつく金属はあるので判定とするには確実性に欠けてしまいます。

そこで一般的には機械的性質や成分分析などのデータから判定する手法が用いられますが、試料に大きな力を加えたり破壊する必要がある方法や、大がかりな機材を必要とする方法ですと簡単には判定することができません。

そんな金属材質を判定する方法のなかでも、破壊することなく現地で判定することが可能な方法のひとつが【ハンドヘルド型蛍光X線分析装置】を用いた材質判定です。

この装置は簡単に言えばX線を判定対象物へ照射することで元素の種類と濃度を測定し、各種材質のデータと照合することで材質の判定をおこなうことができる装置です。

ハンドヘルド型蛍光X線分析装置

この装置であれば判定対象物を破壊したりする必要もなく、短時間に金属材質を判定することが可能なため、PMI検査(Positive Material Identification)と呼ばれ、様々な業界で用いられています。

■蛍光X線分析の注意点

手軽に金属材質の判定が可能なハンドヘルド型蛍光X線分析装置ですが、もちろん気をつけなければいけない点もあります。

・判定対象物の表層にX線を照射することで判定するため、塗装などがされている場合は塗膜などを除去して判定対象を露出させてやる必要がある

・材質の判定は照合される材質データに対しての比較で行われるため、材質データに登録のないものは近似の材質名で表示されることから、成分比などからの確認が必要となる

・測定できない元素もあるため、測定できない元素の成分比が判定に必要な場合には方法として適していない

このように注意点もあるとはいえ、ハンドヘルド型蛍光X線分析装置によるPMI検査は手軽に短時間で判定対象を破壊することなく材質を確認することができることから、メリットの多い材質判定方法と言えるのではないでしょうか。